こんにちは、大田区議会議員の佐藤なおみです。
大田区に暮らし、この街を歩いていると、ふとした瞬間に空を見上げることがあります。窓の外を力強く通り過ぎるエンジンの音、そして夜空に連なる着陸機の灯り。私たちの日常のすぐそばには、日本そして世界の空の玄関口である羽田空港が横たわっています。
私は議員としての歩みを始めた1年目、まず「こども文教委員会」に所属し、子どもたちの学習環境や健やかな成長を支えるための施策に没頭してきました。現在は、区民の皆様の健康や生活環境を所管する「健康福祉委員会」の委員として活動しておりますが、どの委員会に身を置いている時も、私の耳には常に「空港のあるまち」で暮らす皆様の切実な声が届いていました。
空港は、私たちの街に活気と雇用をもたらしてくれる誇りであると同時に、私たちの穏やかな暮らしと隣り合わせの課題を突きつける存在でもあります。今回は、この「空の玄関口」との共存について現場の視点から深く掘り下げてみたいと思います。
1. 誇りと日常:空港という存在がもたらす光
「羽田空港がある街、大田区」というのは、私たちにとって大きな誇りです。世界中の人々が日本に降り立つ最初の場所がこの大田区であり、ここから世界へと道が繋がっているという事実は地域経済に計り知れない恩恵をもたらしてきました。
空港に関連する産業は、区内でも多くの雇用を生み出し、私たちの街の賑わいを支える大きなエンジンとなっています。仕事帰りに空港の夜景を眺め、旅立つ人々や帰国した人々の活気を感じることは、大田区に住む私たちだけの特別な日常です。利便性という面でも世界と直結したこの立地は何物にも代えがたい価値を持っています。
しかし、この「光」が強ければ強いほど、その背後に落ちる「影」についても私たちは真摯に向き合わなければなりません。
2. 2020年からの変化:新飛行ルートがもたらした現実
共存という言葉が、かつてないほど重い意味を持つようになった契機があります。それは2020年から本格運用が始まった都心上空を通過する「新飛行ルート」の存在です。
これまで比較的静かだった地域の上空を、かつてない低い高度で巨大な機体が通過するようになりました。晴れた日の午後、公園で遊ぶ子どもたちの声が轟音にかき消され、友人との穏やかなおしゃべりが中断される。夏場に窓を開けて風を通したいのに、騒音のために閉めざるを得ない。こうした光景が今や大田区の多くの地域で「日常」となってしまいました。
私は議員1年目のこども文教委員時代、学校現場を回る中で「飛行機の音で授業が中断されることがある」「集中力が削がれる環境をどうにかしてほしい」という先生方や保護者の皆様の切実な訴えを伺ってきました。子どもたちの学びの場を守ることは私たちの未来を守ることと同義です。騒音問題は単なる「音」の問題ではなく、次世代を担う子どもたちの成長環境を左右する重大な課題なのです。
3. 健康と安全への懸念:影の部分に光を当てる
騒音の影響は、教育現場だけにとどまりません。現在の健康福祉委員としての活動を通じて、私は騒音が及ぼす「健康への影響」についても深刻に受け止めています。断続的に続く轟音は、知らず知らずのうちに私たちの心身にストレスを蓄積させます。夜勤明けで体を休めたい方、繊細な眠りの中にいる赤ちゃん、そして静かな環境で療養されている高齢者の皆様。こうした方々にとって騒音は生活の質(QOL)を著しく低下させる要因となります。
また、音の問題以上に多くの区民が不安を抱いているのが「安全」についてです。「もしも部品が落ちてきたら」「万が一のトラブルが起きたら」という、漠然としながらも拭い去れない恐怖心は、私たちの心のどこかに常に重くのしかかっています。空港の発展が国の経済にとって重要であることは理解していても、その発展が区民の穏やかな日常や安全を犠牲にして良いはずがありません。
4. 真の「共存」を目指して:私たちが必要とする具体的な対策
では、私たちはこの課題にどう向き合っていくべきなのでしょうか。これは決して「空港か、暮らしの静けさか」という二者択一で解決できる単純な問題ではありません。私たちが求めるべきは、空港がもたらす利便性や経済的な恩恵を享受しながらも、区民の生活環境が守られ安全が担保される、真の意味での「共存」の形です。そのためには、以下の3つの視点が必要不可欠だと考えています。
① 透明性の高い情報開示と住民の参画
騒音レベルの正確な測定結果や、安全対策の実施状況について、国や空港関係者はより分かりやすく、かつ透明性の高い形で情報を開示すべきです。私たち住民が「何が起きているのか」を正確に知り、その上で意思決定に関与できる仕組みを求めていかなければなりません。
② 負担を軽減するための実効性のある対策
現在の飛行ルートの見直しや、騒音を軽減するための技術的な改善、さらには影響を受ける地域への防音工事助成の拡充など、具体的で実効性のある対策を国に強く働きかけ続ける必要があります。
③ 住民の声を届ける「架け橋」としての役割
大田区は、日本で最も空港と密接に関わり時には翻弄されながらも共に歩んできた地域です。だからこそ、私たち区民はこの問題の「当事者」として、最も重みのある声を上げる権利があります。私は、こども文教委員会での経験と健康福祉委員会での知見を最大限に活かし、皆様の声を国や都、そして空港関係者へと届ける「架け橋」としての責任を果たしていけたらと思います。
5. 結びに:地域全体で空の未来を考える
「空港のあるまち」という宿命を私たちはどう未来へ繋いでいくべきでしょうか。単に現状を嘆くのではなく、あるいは一方的に恩恵だけを享受するのでもなく、互いの存在を尊重し合える形を模索すること。それこそが今を生きる私たち大田区民の進むべき道だと思います。
地域の皆様が「この空の下で、安心して暮らしていける」と言えるその日まで。私はこれからも、皆様と同じ目線で空を見上げ、現場の声を大切にしながら、より良い共存の形を追求し続けます。
皆様は、この空の玄関口との共存についてどのようにお考えになりますか?
ぜひ、佐藤なおみまで皆様の率直な想いをお寄せください。その一つひとつの声が、私たちの暮らしと大田区の空の未来を守るための第一歩になります。
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