大田区議会議員の佐藤なおみです。
いつも区政へのご理解、ご協力をありがとうございます。
4人の子育てに追われていた頃は、「今、この瞬間」を乗り越えることに必死でした。しかし、子どもたちが大学や高校に進学し、ようやく未来を考える余裕が生まれた今、「親の介護」という次の大きなテーマが、非常に現実的なものとして目の前に立ち上がってきました。
つい昨年、私は100歳近くまで生き抜いた祖母を看取りました。そして母も80歳近くなり、幸い今は元気に暮らしてくれていますが――「この先5年、10年後はどうだろうか?」と考えない日はありません。
これは私個人の話ではなく、大田区が今すぐ向き合わなければならない「待ったなし」の課題です。
大田区の介護の現状――数字が示すリアル
大田区の人口は現在約73万人。そのうち65歳以上の高齢者は約16万6,000人(高齢化率22.5%)で、ひとり暮らしの高齢者(高齢単身世帯)は4万2,000世帯を超えています(令和2年国勢調査)。
そして今、区内の要介護・要支援認定者は約3万2,000人にのぼります。区の高齢者保険事業計画によれば、この数は今後も増え続け、2040年(令和22年)には約3万6,000人に達すると推計されています。
また、何らかの認知症症状を持つ高齢者は現時点で約2万5,000〜3万人(高齢者の16〜17%)と推計されており、こちらも増加が見込まれています。
2040年、大田区が直面する「介護の崖」
今、多くの専門家や行政関係者の間でよく耳にする言葉、それが「2040年問題」です。
* 団塊世代(1947〜49年生まれ)が75歳以上、最も介護が必要な年齢層へ
* 大田区の高齢化率が現在の22.5%から26.7%へ上昇(区推計)
* 75歳以上の後期高齢者数が現在の約9万人から約9万2,000人へ
「支える人が減り、支えられる人が急増する瞬間」が2040年に重なります。
大田区はもともと23区の中でも高齢者人口が多い区です。介護サービスへの「需要」が、これまでに経験したことのない規模で急増することが確実視されており、現在の延長線上の体制では立ち行かなくなる未来が、着実に近づいています。
誰がその手を差し伸べてくれるのか――介護人材不足の深刻さ
問題は「介護を受けたい人が増える」だけではありません。そのケアを担う「介護人材」が圧倒的に不足していることです。
私の叔母が祖母を看取る過程で、数えきれないほど多くの介護職員の方々に支えていただいたと聞いています。専門性と優しさを兼ね備え、家族のように寄り添ってくださる姿に、心から救われたと。
しかし現場は、
* 賃金水準が専門性・負担に見合っていない
* 区内の介護サービス事業者のうち、必要な人材を「確保できている」と答えたのはわずか約3割(大田区介護サービス事業者調査)
という厳しい環境に置かれており、人材不足は深刻です。その結果、
* ヘルパーさんを頼みたくても、派遣できる職員がいない
* 訪問系サービスで特に人材不足が顕著
という状況が今も起きており、2040年にはこれが”ピーク”を迎えます。
大田区の現在の取り組み
大田区も、もちろんこの問題を見過ごしているわけではありません。東京都と連携しながら、さまざまな施策が進められています。
介護予防・フレイル対策
* フレイル(加齢による心身の衰え)検診・栄養支援の拡充
* 介護状態の悪化を防ぐための早期介入
高齢者が「要介護になる前に」支える予防的アプローチが強化されています。
在宅介護を支える支援
* 地域包括支援センターの体制強化(ただし、区民の認知度は約3割にとどまるという課題も)
* 認知症初期集中支援チームの活動
在宅介護をするご家族の負担を軽減し、「孤独な介護」を減らす環境づくりが進んでいます。
介護人材への支援
* 研修・キャリアアップ支援
* 働きやすい職場環境づくりへの支援
ICT・ロボット介護の導入促進
* 移乗支援ロボット(ベッド⇔車いす)の導入
* 介護記録・業務のデジタル化による効率改善
それでも残る4つの課題
しかし、現状の取り組みだけでは2040年の介護需要の急増には対応しきれません。現場の声を聴くと、次の課題が浮かび上がります。
① 介護人材不足への抜本対策
* 若い世代が介護職に就きやすい仕組みづくり
* 専門性に見合ったキャリアパスの整備
「人を支える仕事」が正当に報われる環境なしに、人材不足は解消されません。
② 家族介護者の疲弊
区の調査では、現在家族を介護している方の多くが「仕事との両立」に苦慮しており、介護のために労働時間を調整したり休暇を取ったりしながら働いています。
* 介護と仕事の両立が困難(介護離職リスク)
* 介護者の「レスパイト(休息)」が不足
③ 施設入所待ちの深刻化
* 特別養護老人ホームの入所待ちリスクがさらに高まる
* 夜間対応が可能な施設の不足
需要増加に対して施設整備が追いついていない現実があります。
④ 認知症対策の加速
高齢者の16〜17%が何らかの認知症症状を持つとされる今、認知症の方とその家族を地域全体で支える仕組みはまだ十分ではありません。区の調査でも、「認知症に関する正しい知識・理解を広めること」が区民から最も強く求められている施策のひとつとして挙がっています。
私が目指す大田区の介護政策
区民の皆さんが「必要なときに必要な介護を安心して受けられる大田区」を実現するために、私は次の政策を重点的に推進します。
介護職の待遇改善とキャリア支援の抜本強化
区として国・都への政策提言を強め、介護報酬の引き上げ・処遇改善加算の活用促進を働きかけます。「人を支える仕事」が正当に報われる社会の実現を目指します。
家族介護者への支援拡充
* 介護相談窓口(地域包括支援センター)の認知度向上と利用促進
* 介護と仕事を両立できる環境づくり・介護離職ゼロへの取り組み
認知症対策の早期化・地域での支援強化
「本人・家族・地域・医療・行政」がつながる仕組みを強化し、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを進めます。
介護のDX(デジタル化)推進
少ない人手でも介護の質を落とさないためのテクノロジー活用を、事業者が導入しやすい環境整備とともに推進します。
施設整備と在宅支援の「両輪」での強化
施設か在宅かという二項対立ではなく、区民ひとりひとりの状況に応じた選択肢を広げるため、両方の整備を並行して進めることが必要です。
まとめ
大田区の公式推計によれば、2040年には区内の要介護・要支援認定者が現在の約3万2,000人から約3万6,000人へ増加し、高齢化率は26.7%に上昇します。この変化は、もはや「将来の話」ではありません。
祖母の看取りに接し、母のこれからを案じる「娘」として。そして区民の皆さんの未来を守る「議員」として。私は、2040年を見据えた介護インフラの整備を、今すぐ本気で進めなければならないと考えています。
大田区が、皆さんのご家族が、そして未来の私たち自身が「安心して介護を受けられる地域」であり続けるために――これからも現場の声を聴き、必要な政策を強く提言し、行動し続けます。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
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