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ふるさと納税で大田区から約71億円が流出|しくみ・区民サービスへの影響と大田区への寄附の方法

大田区議会議員 佐藤なおみ

大田区議会議員 佐藤なおみ
元シングルマザーとして、暮らしの声を区政に届けます。
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皆様、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。いつも大田区政へのご協力に感謝しております。

年末が近づくと、「今年のふるさと納税、まだ間に合う?」と駆け込みで寄附先を探す方が増えてきます。おいしい返礼品がもらえて、税金も控除される。とても身近な制度になりました。

一方で、あまり知られていないのが「ふるさと納税によって、大田区の税収が毎年大きく減っている」という事実です。大田区の発表では、令和8年度にふるさと納税で区から流出した額は約71億円にのぼります。

この記事では、ふるさと納税のしくみをおさらいしたうえで、大田区の税収にどんな影響が出ているのか、そして区民の皆様の寄附が大田区のために生かされる方法についてお伝えします。ふるさと納税をやめてほしい、という話ではありません。制度のしくみと地元への影響を知ったうえで、ご自身で選んでいただけたらと思っています。

まず結論|大田区とふるさと納税の今

  • ふるさと納税による大田区の流出額は年々増えており、令和8年度は約71億円でした。
  • 平成27年度から令和8年度までの累計は約413億円にのぼります。
  • 1年間の流出額は、区立の小・中学校を改築する経費の約1校分に相当します。
  • 大田区にもふるさと納税ができます。返礼品のほか、子どもの支援や進学の応援など、使い道を選んで寄附することもできます。

ふるさと納税のしくみをおさらい

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分が、原則として所得税と住民税から控除される制度です。名前に「納税」とついていますが、正確には自治体への「寄附」です。

控除は、所得税と、住んでいる自治体の住民税から行われます。住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があり、特例分には住民税所得割額の2割までという上限があります。控除の上限は年収や家族構成によって変わるため、上限を超えて寄附すると、自己負担が2,000円を超えてしまいます。

控除を受ける2つの方法

  • 確定申告:寄附先から届く「寄附金受領証明書」をもとに、翌年に確定申告をします。
  • ワンストップ特例制度:確定申告をする必要がない給与所得者などで、1年間の寄附先が5団体以内であれば、寄附先の自治体に申請書を出すことで、確定申告をしなくても住民税から控除されます。申請書は、寄附した翌年の1月10日までに寄附先へ届くように提出します。

その年の控除の対象になるのは、1月1日から12月31日までに行った寄附です。年末ぎりぎりに寄附する場合は、決済の完了日が寄附日になることが多いので、早めの手続きが安心です。また、医療費控除などで確定申告をする方は、ワンストップ特例の申請をしていても無効になるため、確定申告でふるさと納税の分もあわせて申告する必要があります。

なぜ大田区の税収が減るの?

区民の皆様が他の自治体にふるさと納税をすると、その分だけ大田区に入るはずだった住民税が控除されます。つまり、本来は大田区の区民サービスに使われるはずだったお金が、他の自治体へ移っていることになります。

大田区の流出額は、次のように毎年増え続けています。

  • 令和5年度:約50億円
  • 令和6年度:約56億円
  • 令和7年度:約65億円
  • 令和8年度:約71億円

4年間で約1.4倍に増えている計算です。制度の見直しで住民税の控除の上限が引き上げられたことや、確定申告が不要なワンストップ特例制度が始まったことで、利用する方が年々増えていることが背景にあります。

ふるさと納税による大田区の流出額(令和5〜8年度)

3万円寄附すると、どこからいくら引かれる?

たとえば、大田区にお住まいで所得税の税率が10%の方が、ほかの自治体に3万円をふるさと納税し、確定申告をした場合(控除の上限内)を考えてみます。自己負担の2,000円を除いた2万8,000円が控除され、そのうち所得税(復興特別所得税を含む)から約2,900円、残りの約2万5,000円は住民税から差し引かれます。住民税は特別区民税(6%)と都民税(4%)に分かれているため、この約2万5,000円のうち約6割にあたる約1万5,000円が、大田区の特別区民税の減収になります(いずれも概算です)。なお、ワンストップ特例を使った場合は所得税からの控除がなく、2万8,000円の全額が住民税から控除されます。

東京の区は、減った分が補てんされない

普通交付税の交付を受けている自治体では、ふるさと納税で住民税が減っても、減収分の原則4分の3が地方交付税の算定に反映され、実質的に補われる仕組みがあります。しかし、東京の特別区には、国の地方交付税によるこうした補てんがありません。流出した分が、そのまま区の財源の減少につながるのです。特別区長会がこの点も含めて見直しを求めているのは、こうした事情があるためです。

区民サービスへの影響

流出した約71億円は、区立の小・中学校を1校改築できるほどの金額です。これまでの累計約413億円は、その経費の約6年分に迫ります。保育、介護、子育て支援、道路や公園の維持管理など、私たちの暮らしを支えるサービスは、こうした税金で成り立っています。

制度の「理想」と「現実」

ふるさと納税には本来、「生まれ故郷やお世話になった地域を応援する」「税金の使われ方を考えるきっかけにする」といった意義があります。

しかし実際には、返礼品を目的とした寄附が増え、返礼品競争に勝った一部の自治体に寄附が集中するといった問題も指摘されています。高い所得の方ほど控除の上限が大きく、返礼品の恩恵を多く受けられるという不公平さもあります。

こうした状況を受けて、特別区長会や東京都は、国に対して制度の抜本的な見直しを求めています。大田区も、ふるさと納税本来の「地域を応援する」という趣旨に立ち返り、寄附文化を育てていく取組を進めています。

大田区にもふるさと納税ができます

あまり知られていませんが、大田区も令和6年度から、区の魅力ある資源を生かした返礼品を拡充し、ふるさと納税の寄附を募集しています。区外にお住まいのご家族やご友人に、大田区を応援してもらうこともできます。

使い道を選んで応援

大田区へのふるさと納税は、使い道を選んで寄附することができます。たとえば、次のような基金や寄附先があります。

  • 子ども生活応援基金:子どもの生活を応援する地域活動団体などへの支援
  • 大学等進学応援基金:経済的な理由で進学が難しい世帯の生徒への給付型奨学金
  • 勝海舟基金:勝海舟記念館の資料の購入や修復など
  • みどり基金:区内のみどりを守り育てる取組
  • 産業のまち未来基金:ものづくり産業や観光の発信、銭湯の振興、スタートアップ支援など

(ほかにも多数あり)

なお、大田区にお住まいの方が大田区に寄附した場合も、住民税などの寄附金控除は受けられます(総務省の基準により、住民の方への返礼品はありません)。

新しいかたちの寄附も

大田区では、区内の宿泊施設や飲食店などで使える電子クーポンを受け取れる現地決済型の「大田区はねぴょんギフト」や、飲食や宿泊のあとにレシートを使って寄附を検討できる後納型の「あとふる」も導入しています。区外から訪れた方が、大田区での体験をきっかけに応援してくださる仕組みです。

ふるさと納税を利用するときの注意点

  • 詐欺サイトに注意:ふるさと納税の受付を装った詐欺サイトが確認されています。極端に安い返礼品や、振込先が個人名になっているサイトには十分ご注意ください。少しでも怪しいと感じたら、寄附先の自治体に確認しましょう。
  • 控除の上限を確認:上限を超えた分は自己負担になります。各ポータルサイトなどのシミュレーションは目安として使い、正確な金額は源泉徴収票などで確認しましょう。
  • 受領証明書を保管:確定申告で必要になります。
  • 控除されたかを確認:翌年の6月ごろに届く住民税の「税額決定通知書」で、寄附金の控除が反映されているかを確認できます。ワンストップ特例の申請書を出し忘れていた場合は、確定申告で控除を受けられます。

よくあるご質問

Q. ふるさと納税をすると、大田区の行政サービスが受けられなくなりますか?
A. そのようなことはありません。

Q. 大田区に住んでいて、大田区に寄附することはできますか?
A. できます。寄附金控除も受けられますが、区民の方への返礼品はありません。使い道を選んで、地元の子どもや地域の活動を応援することができます。

Q. ポータルサイトのポイントはもらえなくなったのですか?
A. 総務省の基準の見直しにより、令和7年10月から、ポイントなどの特典を付与するポータルサイトを通じて寄附を募集することは禁止されました。返礼品は引き続き受け取れますが、ポータルサイトが独自に付与するポイントを目当てにした寄附はできなくなっています(クレジットカード決済で通常付くポイントなどは別の扱いです)。

Q. 寄附の手続きはどこに問い合わせればいいですか?
A. 寄附の使い道ごとに担当課が決まっています。制度や手続きについては大田区 課税課課税担当(電話 03-5744-1192)、区のふるさと納税の取組については総務課総務担当(電話 03-5744-1139)にお問い合わせください。

まとめ

ふるさと納税は、地方を応援できるすばらしい面がある一方で、都市部の自治体の税収を大きく減らしているという側面もあります。大田区からは、令和8年度だけで約71億円が流出しました。

「ふるさと納税は自分にはお得な制度」と感じている方にも、その裏で地元の財源が減っていることを、ぜひ知っていただきたいと思います。そのうえで、寄附先の一つとして大田区も思い出していただけたらうれしいです。私も議会で、区の財源を守る取組や、区民の皆様に選ばれる大田区の魅力づくりについて、引き続き取り組んでまいります。

大田区議会議員 佐藤 なおみ

※記載の内容は、大田区「大田区のふるさと納税」(2026年10月13日更新)、総務省「ふるさと納税のしくみ」の情報にもとづいています。控除の上限など個別の計算は、税務署や専門家にご確認ください。

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