※この記事は2026年10月時点の情報です
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皆様、こんにちは。大田区議会議員の佐藤なおみです。
夕方、空を見上げると飛行機が次々と低く飛んでいく――。2020年3月に羽田空港の新しい飛行ルート(新飛行経路)の運用が始まってから、「羽田新ルートはうるさいのでは」「うちの辺りは影響があるの?」というご質問をいただくことがあります。羽田空港とともに暮らす大田区にとって、空港は大切な地域の財産であると同時に、騒音や安全への不安と向き合い続けるテーマでもあります。
この記事では、国土交通省・大田区・東京都などの公式資料をもとに、新ルートの仕組み、音が気になりやすい場所、騒音測定結果の読み方、国の対策、見直し議論の最新状況、そして困ったときの相談先を、できるだけ公平にまとめました。賛否が分かれる話題ですので、国の説明、住民の皆様の懸念、区の立場を、それぞれ資料に書かれている範囲でご紹介します。
1. 羽田新ルートはうるさい?まず結論から
最初に、よく検索されている疑問へ短くお答えします。
- 新ルートが使われるのは主に夕方の約3時間:南風のときは15時〜19時のうち実質3時間程度、北風のときは7時〜11時30分と15時〜19時(夕方は実質3時間程度)です。深夜・早朝(23時〜翌6時)は従来どおり海上ルートが中心です。
- 大田区で特に音が話題になっているのは、南風時の「B滑走路からの西向き離陸」:区は2026年7月、航空需要の回復にともない、この離陸による騒音が大きくなっているとして、国に改めて要望書を提出しました。
- 国の測定では、大田区内の測定局の年間Ldenは34〜47dB:2025年度の測定結果です。一方で、1機が通るときの音の大きさ(実測値の平均)は、空港に近い羽田小学校で約74dBあり、「数値上の平均」と「体感」に差が出やすい点に注意が必要です。
- 見直し議論は継続中:国の「固定化回避検討会」は2025年12月に第7回が開かれ、海上ルートの実現に向けた研究と、低騒音機の普及策などの方向性が示されました。ただし、新ルートをやめる時期などの結論は出ていません。
- 困ったときの窓口:国土交通省の専用ダイヤル(0570-001-596、毎日7時〜20時)と、大田区の空港まちづくり課(03-5744-1650)です。詳しくは第8章でご案内します。

2. 羽田空港の新ルート(新飛行経路)とは?
なぜ新ルートができたのか
新ルートは、羽田空港の国際線を増やすために、国が進めた「機能強化」の一環として2020年3月29日に運用が始まりました。大田区のホームページによると、深夜・早朝(23時〜6時)を除く時間帯の国際線を年間約3.9万回増やし、1時間あたりの発着回数を80回から90回に増やす計画として示されてきました。
それまでの羽田空港は、騒音への配慮から、できるだけ海の上を飛ぶルートが基本でした。新ルートでは、限られた時間帯に限り、都心側や陸地の上空も使うことで、発着回数を増やしています。
運用される時間帯と風向き
飛行機は向かい風で離着陸するため、使うルートは風向きで変わります。大田区の資料では、南風の運用は年間平均で全体の約4割、北風は約6割とされています。
| 風向き | 新ルートの時間帯 | 新ルートの主な内容 | それ以外の時間帯 |
|---|---|---|---|
| 南風(年間約4割) | 15時〜19時のうち実質3時間程度 | 都心側から着陸し、海側などへ出発。 | B滑走路からの西向き離陸も使われる | 浦安沖から着陸、木更津沖方面へ出発(深夜早朝を除く) | 北風(年間約6割) | 7時〜11時30分、15時〜19時(夕方は実質3時間程度) | 木更津側から着陸し、荒川沿いなどを上昇して出発 | 木更津沖から着陸、浦安沖方面へ出発(深夜早朝を除く) |
「実質3時間程度」というのは、ルートの切り替えに時間がかかるためです。また国土交通省は、気象条件や運航状況によって運用が前後することがあると説明しています。
3. 大田区ではどの辺りで音が気になる?公表資料から読み解く
南風時の「B滑走路西向き離陸」
大田区が最も強く問題意識を示しているのが、南風の新ルート運用時にB滑走路から西向きに離陸する便です。B滑走路は空港の西側(陸側)に近い滑走路で、ここから西に向かって飛び立つと、離陸直後のまだ高度が低い段階で陸地に近づきます。
区が2026年7月31日に提出した要望書では、2022年以降の航空需要の回復にともない、この西向き離陸による騒音が大きくなっていること、地域住民からは今も騒音への不安や要望が寄せられていることが述べられています。
大田区内にある国の騒音測定局
国土交通省は新ルート沿いに騒音測定局を設けて、毎月結果を公表しています。大田区内には次の2か所があります。
| 測定局 | 主に測っている経路 | 位置関係(国の資料) |
|---|---|---|
| 大田区立羽田小学校 | B滑走路 西側出発経路 | 経路の側方約1km、空港から約800m。 |
| 通過時の高度は約150m(約500ft) | 大田区立大森第五小学校 | A滑走路 着陸経路 | 経路の側方約1.2km、空港から約4km。 |
| 通過時の高度は約210m(約700ft) |
このほか国は、固定の測定局以外の場所で2週間程度の短期測定も行っており、大田区内では令和2〜6年度に東京都下水道局東糀谷ポンプ所、令和7年度に大田区立東糀谷小学校で実施したと、区のホームページに掲載されています。
つまり公表資料から読み取れるのは、空港に近い羽田・東糀谷周辺(B滑走路西向き離陸の影響)と、大森方面(A滑走路への着陸経路の側方)が、国が継続的に音を測っている地域だということです。なお、区内の具体的な経路は、大田区ホームページの「大田区上空における南風時の新飛行経路」の図で確認できます。
ゴーアラウンド(着陸のやり直し)
着陸の直前に安全のため上昇してやり直す「ゴーアラウンド」が起きた場合も、区内上空を飛ぶことがあります。区からの要望を受けて国は、小さな部品の欠落報告があったときの滑走路点検のタイミングの工夫(2022年1月から)や、鳥との衝突(バードストライク)対策などで、ゴーアラウンドを減らす取り組みを区に報告しています。
4. 羽田空港 新ルートの騒音測定結果の見方

国の測定結果には、主に2種類の数字が出てきます。ここを押さえると、ニュースや資料が読みやすくなります。
「実測値(の平均)」と「Lden」の違い
- 実測値:1機が通過したときの音の最大値です。「その瞬間どれくらいうるさいか」に近い数字です。国の資料では、これを機体の大きさ別(大型・中型・小型)に平均した値も示されています。
- Lden(エル・デン):音の大きさ、続いた時間、時間帯(夕方・夜間は重く数える)の3つを合わせて、1日を通した影響として評価する指標です。飛行機が通らない時間も含めて平均するため、実測値よりかなり小さい数字になります。
参考として、環境省が定める「航空機騒音に係る環境基準」は、Ldenで主に住居用の地域(類型I)が57dB以下、それ以外の地域(類型II)が62dB以下とされています。
大田区内の測定結果(2025年度)
国土交通省が公表した2025年4月1日〜2026年3月31日の測定結果から、大田区内の2局を抜き出しました。
| 測定局 | 実測値の平均(全体) | 大型機の平均 | 年間Lden | 騒音発生回数(年間) |
|---|---|---|---|---|
| 羽田小学校 | 74.0dB | 76.2dB | 47dB | 8,390回 |
| 大森第五小学校 | 62.3dB | 63.4dB | 34dB | 3,331回 |
同じ資料で、新ルート沿い全体の年間Ldenは33〜58dBでした。最も高かったのはB滑走路西向き出発経路のほぼ直下にある国立医薬品食品衛生研究所(川崎市)の58dBです。
数字を見るときの注意点
- Ldenが基準値を下回っていても、体感として「うるさい」と感じることは十分あり得ます。羽田小学校の実測値の平均約74dBは、1機ごとに見ればはっきり聞こえる大きさです。Ldenは1日の平均なので、夕方の3時間に音が集中する新ルートの「つらさ」は数字に表れにくい面があります。
- 季節によって回数が変わります。南風が多い季節は回数が増えます。2026年3〜5月の結果では、羽田小学校の騒音発生回数が3月527回、4月837回、5月1,115回と月ごとに増えており、国も「季節に応じて増加傾向」として引き続き監視するとしています。
- 速報値は参考値です。毎月の速報値は精査前の数字で、国も参考値と明記しています。年間の数字と合わせて見るのがおすすめです。
- 「推計値」との比較。国は住民説明会などで示した推計値と実測値を比べており、2025年度は測定結果の約89%が推計値と同等かそれ以下だったとしています。
5. 国の騒音対策と防音工事の助成
これまでに実施されてきた主な対策
| 対策 | 内容(国・区の公表資料より) |
|---|---|
| 着陸時の降下角の引き上げ | 南風好天時の着陸で、降下角を3度から可能な範囲で引き上げ(現在は3.45度)。 | 国は一定の騒音軽減効果を確認したとしています | B滑走路西向き離陸の制限 | 長距離国際線は約6,000km以内に限る(超える路線は指定の低騒音機のみ)、4発機の制限、急上昇・早期旋回の騒音軽減運航方式 | 離陸開始位置の変更 | 2022年11月から、B滑走路で西向きに離陸する大型機(B777・A330)は原則として滑走路の端から離陸を開始し、陸地上空の高度を早く上げる運用 | 着陸料の見直し | 2020年から、騒音の大きい機材ほど着陸料の騒音部分の単価を高く、静かな機材ほど低くする見直し | 航空会社への要請 | 低騒音機(B787、A350など)の選択、A320シリーズ向け騒音低減装置(AFD)の装着などを文書で要請 |
防音工事の助成は誰が対象?
「家の防音工事に補助は出るの?」というご質問も多いのですが、国の説明は次のとおりです。
- 住宅:国は、騒音に配慮した方策を講じた結果、新ルートでは法律にもとづく住宅防音工事が必要となる目安(Lden62dB)に達する地域は生じないとしています。このため、新ルートを理由とした住宅の防音工事助成は、国の制度上は対象になっていません。
- 学校・病院などの教育施設等:空港に近い経路付近の教育施設等については、騒音の強さと回数の組み合わせが一定の限度を超える場合に国が助成する制度があり、新ルートに合わせて対象地域を広げ、小規模保育施設なども新たに対象に加えたとされています。
対象になるかどうかは施設ごとの条件によりますので、施設の設置者の方は国土交通省や区の窓口にご相談ください。
6. 固定化回避検討会など、見直し議論の最新状況(2026年)
固定化回避検討会とは
新ルートを「このまま固定しないでほしい」という関係自治体の要望を受けて、国土交通省は2020年6月から「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」を開いています。今の滑走路の使い方を前提に、騒音を減らす観点から見直せる方法がないか、技術的に検討する場です。航空会社、航空評論家、研究機関、大学の関係者など8名の委員で構成され、これまで次のように開かれています。
- 第1回:2020年6月30日
- 第2回:2020年12月23日
- 第3回:2021年3月17日
- 第4回:2021年8月25日
- 第5回:2022年8月3日
- 第6回:2024年12月24日
- 第7回:2025年12月23日(2026年10月時点で公表されている最新の回)
第7回検討会で示されたこと
第7回では、主に「海上ルートの実現」と「さらなる騒音負担の軽減」が話し合われました。公表資料のポイントは次のとおりです。
- 海上ルートについて:人工衛星の信号を使って曲線の経路を正確に飛ぶ「RNP-AR方式」は、前回(第6回)で技術的に採用可能と評価されました。ただし、対応していない機材が残っているため、すぐの導入は難しいとされています。2025年4月時点の対応率は、国内航空会社が機材数で76.6%、回答のあった外国航空会社が71.0%です。今後は研究の推進、機材更新時の対応の促進、未回答の外国航空会社へのフォローアップを続けるとしています。
- 騒音負担の軽減について:海外の空港で、騒音の大きさに応じて着陸料に差をつけ、静かな機材への切り替えを強く促している事例が報告されました。今後の方向性として、低騒音機の導入を促す仕組みの検討や、騒音低減装置の普及が示されています。
一方で、2025年12月24日の都と関係区市の連絡会では、方向性が示されたことを評価しつつも、「長年求めてきた具体的な方策は示されなかった」とする区の意見も出されています。
大田区の最新の要望(2026年7月)
2026年7月31日、大田区長と大田区議会議長は連名で、国土交通大臣に要望書を提出しました。要望書では、羽田空港での低騒音機の割合が令和7年度で約37%にとどまり、約6割はまだ騒音の大きい機材であることに触れたうえで、次の2点を求めています。
- 騒音をより重視した着陸料体系への見直しや、騒音低減装置の装着の推奨など、低騒音機の普及を促すさらなる騒音軽減策の推進
- 安全の確保を最優先にしながら、新経路の固定化回避に向けた継続的で徹底した調査・検討
区のプレスリリースによると、大臣からは、令和9年度予算要求も視野に検討を加速させる考えが示されたとのことです。今後の具体化を、区民の皆様と一緒に見守っていきたいと思います。
7. 羽田空港 新ルートの評判と、それぞれの立場
新ルートについての受け止め方は、立場によって大きく異なります。公式資料に書かれている範囲で整理します。
| 立場 | 主な考え方(公表資料より) |
|---|---|
| 国(国土交通省) | 国際線の増便による経済効果などのため機能強化が必要。降下角の引き上げや低騒音機の効果は測定で確認されており、住宅防音工事が必要な水準の影響は生じない。固定化回避は技術的に検討を続ける |
| 住民の皆様の懸念 | 夕方に音が集中することへの負担、落下物など安全面の不安。 | 区の要望書でも、騒音への不安や要望が今も寄せられていると記されている | 大田区 | 空港との共生・地域の活性化をめざしつつ、区民の生活環境を守る立場から、国の提案当初からこの問題を重大と受け止め、丁寧な説明、騒音・落下物を含む安全対策、固定化回避を一貫して国に求めている(要望書は2016年から2026年までに計5回) |
私自身は、空港がもたらす経済や交流の恩恵と、毎日の暮らしの静けさや安心は、どちらも大切なものだと考えています。どちらかを切り捨てるのではなく、正確なデータにもとづいて、少しでも負担を減らす工夫が積み重ねられていくことが大切だと感じています。
8. 大田区で飛行機の騒音が気になったときの相談・問い合わせ先
「今日は特にうるさかった」「低く飛んでいて怖かった」「部品が落ちてこないか心配」――そんなときは、遠慮なく窓口へ声を届けてください。寄せられた声は、対策を考えるうえでの大切な材料になります。
| 窓口 | 連絡先 | 受付・備考 |
|---|---|---|
| 国土交通省「羽田空港航空機騒音・落下物等に関するお問い合わせ」 | 0570-001-596(ナビダイヤル) つながらない場合:050-3655-5960 |
7時〜20時(土日・祝日も受付)。 | 騒音、落下物、新飛行経路の運用など | 大田区 空港まちづくり課 | 電話 03-5744-1650 |
なお、以前案内されていた国の旧番号(0570-001-160、03-5908-2420)は2021年1月31日で終了していますのでご注意ください。
問い合わせるときのコツ
- 日時(何時何分ごろ)と場所(町名や目印)をメモしておく
- どの方向へ飛んでいったか、音の様子(いつもより大きい、低いなど)を伝える
- 国の測定結果や運用報告は「羽田空港のこれから」のサイトで公表されているので、あわせて確認する
9. まとめ
羽田新ルートは、南風・北風それぞれの限られた時間帯に運用されています。大田区では特に、南風時のB滑走路西向き離陸による騒音が課題となっており、区は2026年7月にも国へ改めて対策を求めました。国の測定では、大田区内の年間Ldenは環境基準の値を下回っていますが、1機ごとの音の大きさや夕方への集中など、数字だけでは表しきれない負担があることも事実です。
固定化回避の議論は、海上ルートの研究や低騒音機の普及策など、少しずつ前に進んでいる部分と、まだ具体策が見えない部分の両方があります。私も大田区議会議員として、国の検討の行方や測定結果に引き続き注目し、皆様の声を大切にしていきたいと思います。気になることがあれば、上記の窓口とあわせて、どうぞお気軽にお声がけください。
大田区議会議員 佐藤 なおみ
参考(公式)
- 国土交通省「羽田空港のこれから」飛行経路:https://www.mlit.go.jp/koku/haneda/action/
- 国土交通省「羽田空港のこれから」固定化回避検討会:https://www.mlit.go.jp/koku/haneda/report/avoid/
- 国土交通省「羽田空港のこれから」条件を満たす施設への防音工事の助成:https://www.mlit.go.jp/koku/haneda/report/noise/06
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